【キーボード】の文字入力をしていて、「なんで『あいうえお』順や『ABC』順じゃないの!?」とイライラしたことはありませんか? 初めてパソコンに触れた日、誰もが一度は抱くこの疑問。実はそのバラバラな配置には、150年も前の「ある切実な事情」と、意外なドラマが隠されているんです。
「使いにくい!」と思われがちなこの並び順、実はあなたの入力を助けるための工夫だったとしたら……? この記事では、毎日使うのに謎だらけなキーボード配列の秘密を、歴史を紐解きながら世界一わかりやすく解説します!
そもそも「QWERTY配列」とは?
現在私たちが使っているキーボードの並び順は、通称「QWERTY(クワーティ)配列」と呼ばれています。
お手元のキーボードの左上を見てみてください。「Q・W・E・R・T・Y」という順番で文字が並んでいますよね? これが名前の由来です。
「なんでABC順じゃないの?」と思うかもしれませんが、実は最初は「ABC順」のキーボードも存在していました。 しかし、ある致命的な欠点があり、今の「バラバラに見える配置」が世界標準(デファクトスタンダード)として勝ち残ったのです。
要するに、「適当に並べたわけではなく、機械のトラブルを防ぐために、あえてバラバラにした」というのが真相です。では、具体的にどんなトラブルがあったのでしょうか? 時計の針を19世紀に戻してみましょう。
なぜ今の形に? タイプライターの「交通渋滞」を防げ!
この配列が生まれたのは1870年代、パソコンなど影も形もない「タイプライター」の時代です。

当時、クリストファー・レイサム・ショールズさんという発明家がタイプライターを開発していました。初期の試作品では、ピアノの鍵盤のような形をしていて、文字は分かりやすく「ABC順」に並んでいたそうです。
ところが、ここで大きな問題が発生します。
まるでラッシュアワーの交差点?
タイプライターの仕組みを想像してみてください。キーを押すと、文字が刻まれたハンマー(タイプバー)が勢いよく飛び出し、紙にインクを叩きつけます。
初期の「ABC順」配列だと、英語でよく続けて使う文字(例えば「S」と「T」など)が隣り合っていたりしました。タイピストが素早く入力をしようとすると、隣り合ったハンマーが同時に飛び出し、空中でガチャン!とぶつかって絡まってしまったのです。
これを現代の道路に例えるなら、「狭い交差点に、四方八方から同時に車が突っ込んできて、玉突き事故(渋滞)を起こしている状態」です。一度絡まると、手で解く必要があり、作業は中断してしまいます。これでは仕事になりませんよね。
解決策は「わざと離す」こと
そこでショールズさんは考えました。 「続けて打つことが多い文字同士を、あえて離して配置すればいいんじゃないか?」
こうして試行錯誤の末に生まれたのが、現在の【キーボード】の原型であるQWERTY配列です。
よく言われる説として、「入力スピードをわざと落とすために作られた」という話がありますが、これは半分正解で半分間違いです。正確には、「ハンマーが絡まらない程度の速度で、かつスムーズに打ち続けられる最適な配置」を目指した結果なのです。
つまり、「機械の故障(ハンマーの絡まり)」を防ぎ、結果的に「長くスムーズに打ち続ける」ための工夫だったわけです。この改良のおかげで、タイプライターはビジネスの現場で爆発的に普及することになりました。
今も変わらない理由
さて、ここで疑問が湧きませんか? 「今はパソコンやスマホの時代で、物理的なハンマーなんてないんだから、ABC順に戻してもいいのでは?」と。

確かに技術的には可能です。しかし、私たちは未だに150年前の配列を使い続けています。これには、私たち人間の 「慣れ」という強力な力が関係しています。
デメリット:初心者にはハードルが高い
QWERTY配列の最大のデメリットは、皆さんが感じている通り「覚えるまでが大変」ということです。初めてキーボードに触る人にとって、文字がどこにあるか探すのは宝探しのような苦行です。
メリット:実は「リズム」が良い?
一方で、メリットもあります。QWERTY配列は、英語を入力する際に「左手と右手を交互に使いやすい」ように設計されているという説があります。 片手だけで連打するよりも、左右のリズムよく打つほうが疲れにくく、高速入力が可能です。プロのタイピストがものすごい速さで打てるのも、この配列が理にかなっている部分があるからです。
もう「後戻り」できない
そして何より最大の理由は、「世界中の人がこの配置を指に覚え込ませてしまったから」です。 これを「経路依存性」と言ったりしますが、一度スタンダードとして広まったものを覆すのは至難の業です。もし明日から急に「新しくて合理的なABC配列」が発表されたとしても、今さら指の動きを矯正するのは大変ですよね?
結局、タイプライター時代の「機械の都合」で決まったルールが、パソコン、そしてスマートフォンのフリック入力のキーボード画面にまで、脈々と受け継がれているのです。
まとめ】
キーボードの配置がバラバラなのは、「昔のタイプライターが壊れないように、よく使う文字をあえて離したから」でした。
- 最初はABC順だったが、ハンマーが絡まって失敗した
- トラブルを防ぐために「QWERTY配列」が発明された
- 世界中に広まりすぎて、今さら変えられなくなった
次にキーボードで「Aはどこだっけ…」と探すときは、「ああ、これは150年前のハンマー事故を防ぐ名残なんだな」と思い出してみてください。イライラが少し収まって、歴史の重みを感じられるかもしれませんよ!
